把持型触覚提示デバイスを用いた振動による柔らかさ提示
鈴木 隆裕 (1051058)
近年,バーチャルリアリティやテレマニピュレーションへの応用を目的として,触覚を使った情報提示技術の研究が盛んに行われている.触覚提示において一般的な物体の操作や触覚受容器の密度を考慮すると,指先に対する感覚の提示が重要となる.本研究では精密把持の基本動作である示指と拇指によるつまみ動作に着目する.本研究では,触覚情報の中でも柔らかさを提示することを目的とし,振動を指先に加えて触覚受容器を刺激する柔らかさ提示手法を提案する.提案手法では先行研究の結果を基に,バンドパスフィルタを通したホワイトノイズを振動波形として用い,把持力の変化に応じて振動の振幅と周波数帯域を変化させることで,柔らかさを提示する.本提案手法の妥当性を確認するため,簡易デバイスを用いて比較実験を行った.柔らかさ提示に必要なデータベースを作成するため,提示に使用可能な振動範囲で振動を付加しときの知覚実験を行った.本提案手法の評価実験として実際の物体と本提案手法とデータベースを用いて提示した柔らかさの比較実験を行った.実験結果より本稿で示す知覚分解能閾で柔らかさが提示可能であることを示した.