明領域と暗領域の明度分布と空間的分布が二分されるHDR画像のためのトーンマッピング

北浦 真樹 (1051039)


ハイダイナミックレンジ(HDR)画像を,一般的なローダイナミックレンジ(LDR)ディスプレイに適切に表示させるためには,トーンマッピングによりHDR画像のダイナミックレンジを適切に圧縮する必要がある.従来手法では,一般的に画素間の輝度の大小関係を保存する潜在的な制約が存在するため,LDR画像のダイナミックレンジを有効に利用して表現することができない.そこで本研究では,明領域と暗領域の明度分布と空間分布が二分されるHDR画像を対象とし,各領域が明確に分離できる場合には,各領域の境界部において輝度値の大小関係が逆転しても人間の視覚には違和感が生じないと仮定する.この仮定に基づいて,HDR画像を明領域と暗領域へ分割し,各領域に異なるトーンマッピングを独立に適用する.

実験において,提案手法によりダイナミックレンジを有効に利用して表現された画像を生成した.また,主観評価実験により提案手法と従来手法の実験結果を比較することで,本研究で設定した仮定の妥当性と提案手法の有効性を検証し,さらに提案手法に適した画像の特性に関して考察した.