数理的手法のライフサイクルプロセス信頼性向上への効果 ―不具合事例分析に基づく考察―

加藤 孝 (1051030)


本研究では,システム開発の不具合の実例を分析した結果,ライフサイクルプ ロセス間の情報伝達誤り,解釈の齟齬,検証項目の見落とし,仕様の矛盾など による不具合が多くみられることを観察した.また,これらの不具合を予防あ るいは回避する方策を発見するために思考実験を行い,数理的手法がこの実験 で不具合の予防あるいは回避に果たしている効果を評価した.

産業におけるシステム開発は,ライフサイクルプロセスの間で,あるいは開発 プロジェクトの間で作業結果を受け渡しながら進められる.仕様が誤解された り,仕様の中に曖昧さや不整合があると,この受け渡しがうまくいかない.そ のために起きる不具合も多くみられる.この種の不具合のうち典型的なものの 産業における実例を分析して事例を抽出し,不具合を予防あるいは回避する思 考実験を行い,数理的手法が果たしている効果を評価したので報告する.また, ライフサイクルプロセスに関する研究における方法に関する考察も行い,思考 実験の有効性を議論する.