本発表では,包括的な学習効率の向上を目指した,3つの異なった側面からの日本語学習支援を紹介する.
1つ目は誤り訂正ローマ字仮名変換である.まだ仮名文字を用いることができない日本語初学者の,ローマ字でかかれた日本語作文に対して,言語特定やスペル訂正を施した後,ローマ字文を仮名文に変換することにより,日本語母語話者にとって読みやすい仮名文を出力する.この手法により添削者が学習者日本語文の添削をする際の支援を試みた.既存の日本語入力システムと比較して精度向上が見られた.
2つ目は日本語学習者の誤り傾向を反映した格助詞誤り訂正であり,日本語学習者の誤りとして大部分を占める格助詞誤りを自動的に訂正する試みである.機械翻訳などで用いられていたNoisychannel model を適用し,相互添削SNS から収集した学習者の誤りの傾向を反映させることによって,4.7%の精度向上が見られた.
3つ目は日本語学習支援ユーザインターフェースを開発した.誤り訂正の精度向上に成功しても,実際に学習者がアプリケーションとして使用することで高い精度の恩恵を受ける機会が少なかった.そこで,学習者が気軽に使用することができるユーザインターフェースを作成した.
これら3 つの取り組みは互いに補完し合う形で日本語教育を支援する.