領域特徴量を用いた複雑背景下での人体姿勢推定

岡野 慎介(1051021)


本発表では,複雑背景下で撮影された一枚の静止画像中から人体の 姿勢を推定する手法を提案する.この問題では,画像中の各ウィンドウ における人体の各パーツ(頭,胴,腕など)らしさ,すなわちウィンドウの 見えとパーツの見えの類似度を正しく評価することが重要となる. ほとんどの従来手法では,濃度勾配ベースの特徴量のみを用いて各パ ーツの類似度を計算するため,個人差に依存しにくい類似度評価のために重要な 人体輪郭だけでなく,服表面のテクスチャや複雑な背景模様も検出されてしまう 問題があった.本研究ではこの問題を解決するために,パーツ類似度評価 のための2段階の処理を新たに提案する.

まず第1に,人体のパーツ領域をより正しく抽出するためのパーツ・背景領域分割法 を提案する.この方法では各パーツの候補領域において,各パーツ 形状の事前知識を参照したパーツ領域と背景領域を2値化をすること によって,人体輪郭だけを領域特徴量として抽出し,この領域特徴量に 基づいて各パーツとの類似度を評価する.

第2に,領域特徴量と従来の濃度勾配ベースの 特徴量とを統合することにより,両特徴量を相補的に利用した パーツ類似度の評価法を提案する.

実験として,公開画像データベース(学習用100枚,テスト用205枚) に対して,このパーツ類似度に基づいた姿勢推定を行った. この結果として,胴体,頭部,右大腿以外のパーツについて,従来手法と比較して 最大約5¥%の精度の向上がみられたことを推定結果の画像と共に示す.