目標体重に応じた食生活改善のための継続性の高い適正摂取カロリー量学習支援システム

今津 眞也(1051010)


本発表では,肥満の予防・改善のため,目標体重に応じて食習慣を改善する継続性の高い健康支援システムを提案する.提案システムでは,継続性向上を図るため,食事情報の詳細な入力を避け,1日1回程度の体重計測とユーザが直感的に見積もった摂取カロリー量のみを必須入力項目にすることで入力の簡易化を行う.しかし,入力の簡易化により,栄養バランスなどを考慮した支援は行えなくなることから,提案手法では簡易な入力情報からでも的確な支援を行うために支援対象を限定する.体重の増減は摂取カロリー量に大きく依存することから,摂取カロリー量を適正に管理できれば,目標体重に近づくと考えられる.そのため,(i) 毎回の食事の摂取カロリー量,(ii) 適正量と比較した際のユーザの過剰摂取カロリー量,(iii) 過剰摂取を解消するための方策をユーザに自覚させるシステムを提案する.提案システムでは,一定期間の体重の変化履歴から(1) 目標体重に向けた1 日の過剰摂取カロリー量,(2) 適正カロリー量に導くための具体的な食事改善メニューを推定する.さらに体重の変化履歴と同区間の相対評価から(3) ユーザが直感的に見積もった摂取カロリー量の精度を推定する.これらの情報をユーザに認識させることで目標体重に応じた適正摂取カロリー量をユーザに学習させる.提案手法を評価するため,提案手法に基づいたWebベースシステムを実装し,男性被験者10名による8か月間にわたる利用実験を行った.その結果,アンケートでは継続性については半数以上,有用性については半数程度の肯定的な意見が得られた.見積もり精度については,効果の大きかった被験者で最大30%あった見積もり誤差を10%以内に抑えることができ,簡易な入力情報からでも目標体重に応じた適正カロリー量の学習が可能であることが分かった.