二光子顕微鏡の撮像特性とノイズ軽減に関する研究-粒子ファントム画像に対する評価-

池本 高浩 (1051006)


二光子顕微鏡では,生体組織深部を非侵襲かつ低光毒性条件で長時間観察が可能となっている. さらに,2次元で取得した画像を重ね合わせることで,3次元構造の観察が可能となったため, これまで2次元で観察することが多かった生物分野において微細立体構造の理解のための重要な可視化ツールとなっている. しかし,二光子顕微鏡の3次元画像を立体可視化し,ニューロンやシナプスなどを効率的に探索する手法は未だ確立していない. その問題点として考えられる理由の一つが,ノイズによる取得画像の劣化である.

そこで本研究では,二光子顕微鏡の撮像特性を粒子ファントム画像のプロファイルや半値幅,SN比から評価した. 二光子顕微鏡のノイズは,装置依存と試料依存などに分けることができる. 本研究では,フォトンショットノイズや装置の内部雑音など装置依存のノイズに着目した. ノイズの性質に合わせたメディアンフィルタなどの平滑化フィルタを適用することでノイズ除去を試み,粒子ファントム画像のプロファイルと半値幅から特性を評価した. その結果,ノイズに応じて異なるサイズのフィルタを適用することで軽減を確認できた. この結果から適応的にノイズを軽減するフィルタを使用することでニューロンやシナプスなどの3次元観察を容易にし,より正確な形態的特徴や位置情報を得ることが期待される.