動的依存性グラフを用いることによる障害原因解析に要する計算時間削減手法の提案
幾世 知範 (1051004)
仮想計算機環境で性能劣化原因の解析を行うためには,
仮想計算機間の依存関係と各仮想計算機の状態を詳細に把握できる障害原因手法が求められる.
この要件を満たす手法として,NetMedicが提案されているが,解析に多大な計算時間を要する.
計算時間の大部分は静的依存性グラフ中の経路探索であるため,システム内の全依存関係から診断時に注目すべき依存関係の抽出が可能となれば,
障害原因解析の結果に大きな影響を与えることなく計算時間を削減できることが期待できる.
そこで,本研究では,分散処理のトレース結果と仮想計算機間の資源競合の把握結果を用いて作成した動的依存性グラフによる計算時間削減手法を提案する.
提案手法をNetMedicに対して実装し,実験を通して障害原因解析に要する計算時間と障害原因解析の結果として得られる障害原因の順位について評価を行った.
評価の結果,辺の除去は障害原因解析の結果に対して影響を与えるが,NetMedicで障害原因を障害原因候補リスト中の上位に提示できている状態であれば,
多くの場合,解析の精度に大きな影響を与えることなく計算時間を削減できることを示した.