タブレット型情報端末における拡張現実感のための実映像の幾何学的補正法

喜瀬川拓也(0851027)


ビデオカメラとタッチパネルディスプレイを装備する タブレット型情報端末は,仮想物体とのインタラクションを伴う 拡張現実感を容易に実現する端末として急速に普及しつつある. しかし,タブレット型情報端末はヘッドマウントディスプレイやプロジェクタを 利用した拡張現実感システムと異なり, ユーザの視点位置から見える画面内の実写映像と 画面外の実風景との間に位置ずれが生じる問題がある. この位置ずれにより,たとえ画面内の実写映像と重畳表示される 付加情報が正しく位置合わせされていても, 画面外の実風景と付加情報の位置関係が把握しづらく, 実際の作業において問題となることが考えられる. 本発表では,ユーザの視点位置から見て,あたかも端末の画面部分が 透けるように実風景が見えるよう画像を提示する手法を提案する. 必要な座標変換の処理を行うため,及び予め求めておく必要がある変換行列を求めておき, 安定して位置ずれの小さい画像を提示するために, 被写体を平面近似し,別のカメラで取得したユーザの視点位置に基づき取得画像をhomography変換する.

実験では,まず理論上正確な補正が可能な平面環境下での位置合わせの精度を明らかにする. 次に,被験者実験を通して,提案手法を用いた拡張現実感システムが幾何補正をしない通常の方式に対して,作業効率が向上することを確認する.