キーポーズの主成分分析に基づく多指ハンドの姿勢生成

首藤将貴 (0951202)


多指ハンドにはそれぞれに得意とする動作や目的がある.たとえば,パワーはあるが多指ハンドのサイズが大きく細かな操作には不向きであったり,その逆で人間と同程度かそれ以下の大きさで細かな操作が可能であるがパワーがないといったことがあげられる.このような場合,それらの多指ハンドを目的に応じて使い分け出来るとより有用である.これまでの多指ハンド制御システムでは,基本的に個々の多指ハンドに専用の制御システムとなっているが,状況い応じて多指ハンドを使い分けるためには,共通の制御システムで制御出来ることが望ましい.実際に構造の異なる多指ハンドを共通の制御システムで制御するためには,構造上の違いを考慮した制御システムを構築する必要がある.

そこで本研究では,主成分分析(PCA)を用いた姿勢生成手法を提案する.提案手法では,人の手の姿勢に主成分分析を行うことで多指ハンドの姿勢に変換することが可能である.本研究では対象とする動作の特徴をよく表した姿勢をキーポーズと呼び,キーポーズ群を主成分分析することによってその主成分を姿勢の変換に利用する.加えて,主成分得点の距離に基づくキーポーズの選定手法についても述べる.選定されたキーポーズと主成分から生成された姿勢は,登録したキーポーズを全て使って生成された姿勢よりも良好な結果が得られた.3指,5指,8指を有する多指ハンドについて,シミュレータ上で提案手法を適用した姿勢生成実験を行った.その結果,提案手法を用いることで多指ハンドの構造に関わらず,入力として与えられた手の姿勢を模した姿勢が生成可能であることが分かった.