NAIST-IS-MT0951138: Xin Wang

Chord におけるSybil ノード検知手法の提案と評価

王 昕 (0951138)


ここに発表梗概を書く。 近年,メディア配信やファイル交換などの分野でオーバレイネットワーク技術を用いたアプリケーションが普及している.オーバレイネットワークでは,中央集権的な機構が必要ないという特徴を持つP2P ネットワークがよく利用されている.また,P2P ネットワークを構築する際には,特定ノードに負荷が集中することなく効率的なコンテンツ検索が可能であるDHT(Distributed HashTable) がよく使われている.DHT には,Sybil 攻撃という攻撃手法が存在し,Sybil ノードがオーバレイネットワークのサービスを妨害するという脅威がある.関連研究では,ノードがP2P ネットワークに参加する際,既に参加しているノードを介してのみ参加できるという制限を置いており,Sybil ノードが既に参加しているSybil ノード周辺に集まる傾向がある.そのため,一般ノードとSybil ノードの間の攻撃エッジが少ないという特徴がある.既存方式では,その特徴を利用し,攻撃エッジを見つけ,Sybil ノード群を検知することができるとしている.しかし,ノードが簡単にP2P ネットワークに参加できる場合には,攻撃エッジの数が増えるため,Sybil ノード群の検知が困難になる.

そこで,本研究では,DHT の代表的なアルゴリズムであるChord に対するSybil攻撃の影響を緩和することを目的として,ノードの挙動を用いたSybil ノード検知手法を提案した.提案手法では,Chord リング上に検知ノードとランドマークノードを配置する.検知ノードは,ランドマークノードが管理しているコンテンツを検索し,検索途中のノードからの返信に基づいて,Sybil ノードの検知を行う.また,Chord においてSybil 攻撃が発生した環境を想定したシミュレーションで,提案手法の検知方式を実装し,Chord リング上に存在するSybil ノードに対する検知する実験を行った.そして,より効率的にSybil ノードが検知可能な拡張検知方式の提案を行う.さらに,拡張検知方式をベースとして,より効率的な検知方式を3 つ実装し,実験により,これらの提案方式の有効性を確認するとともに,性能特性を明らかにした.