救急医療支援のためのウェアラブルカメラとPTZカメラを併用した傷病者情報共有システム

山崎 純一(0951128)


救急医療では,迅速な搬送先病院選定や適切な病院到着前処置を実施するため に,救急隊と医療機関での正確な傷病者情報の共有が重要となる.従来,救急医 療現場では傷病者の観察情報を音声で伝達していたため,医師が傷病者の容態を 視覚的に確認できないことから正確な情報共有は困難であり,情報伝達に時間を 要する問題が発生していた.この問題に対して,動画像やバイタルサインをイン ターネットや携帯電話回線を用いて救急車から医療機関へ伝送することで,医師 が傷口の状態や顔色,心拍などの情報を実時間で確認できるシステムの開発が進 められてきた. また傷病者情報のより円滑な共有を目的として,地域の複数の病 院で情報を閲覧する機能が必要とされている.本研究では,複数医療機関での傷 病者情報の閲覧を目的とした,救急車内に設置されたタッチパネルで救急隊員か ら観察情報の入力・更新を行うことができる傷病者情報共有システムの構築を目 的とする.提案システムでは,パン・チルト・ズーム(PTZ) カメラとウェアラブ ルカメラを併用することにより,救急隊員が容易に車内の撮影を行うことができ る環境を構築する.救急隊員はインタフェース上からカメラの操作と情報の入力 を行い,インターネットを通じて接続可能なサーバに送信することで,複数の医 療機関に傷病者情報を提供する.医療機関では,Web ブラウザで傷病者情報を一 覧でき,迅速かつ容易に傷病者の情報を得ることができる.