皮質脳波の時空間パターンを用いた視覚物体カテゴリーのデコーディング
間島 慶 (0951112)
視覚した物体のカテゴリーに関する情報は,側頭葉の集団的な活動に表現されている.そのため,集団的な脳活動を多点同時計測できる皮質脳波は,その情報表現を調べる上で有力な計測手法である.集団的な細胞の活動を調べた先行研究では,脳活動内の相関を考慮することによって,得られる情報量が増加することが知られている.しかし,側頭葉における情報表現において,脳活動の相関が重要な役割を果たしているかはよくわかっていない.そこで本研究では,側頭葉から多点同時計測された皮質脳波の相関を考慮することで視覚カテゴリーの情報が効率よく読み出せるかを検証した.ヒトに自然画像を提示したときの皮質脳波を計測し,電極間の時間相関を判別器の入力(特徴量)として用い,提示画像のカテゴリーの判別を試みた.また,脳波の解析で典型的な特徴量であるパワーを用いた場合,パワーと電極間相関を用いた場合と判別の正答率を比較しところ,電極間相関を用いた場合,電極間相関とパワーを用いた場合はパワーのみを用いた場合に比べ,正答率が向上することを確認した.以上の結果から,側頭葉におけるカテゴリーの情報表現においても脳活動の相関は重要な役割を果たしていることが示唆される.