新生児心エコー画像に基づく先天性心疾患の心血管形状モデル構築支援システムの開発

前田 一真 (0951111)


近年,心エコーが臨床で広く用いられ,心疾患の診断と正確な病態把握に大きな役割を果たしている. 特に新生児の先天性心疾患の診断においては心エコーが第一選択となっており, 国立循環器病研究センターでは,新生児心エコー遠隔診断が行われている. しかし,心エコー画像から病態を把握するには,専門的な知識や経験が必要であり, 診断・治療に関わる医療スタッフ全員が心エコー画像から病態を正確に把握することは極めて困難である. 現在は,専門医が他の医療スタッフに対して,二次元のイラストやシェーマを用いて病態を説明しているが, 先天性心疾患の患者固有の病態を十分に伝える方法がなく,その結果十分な共通認識を得ることが困難であるという問題がある. 先天性心疾患の病態を把握する上で,心血管の形状や相互の位置関係といった心血管の形態は非常に重要である.

本研究では,専門医が心エコー動画像から診断した先天性心疾患の病態を表現することを目指し, 心エコー動画像を参照しながらインタラクティブに患者固有の心血管モデルを構築するシステムの開発を目的とする. 非常に多様かつ複雑な先天性心疾患の心血管モデルを構築するために, 心血管モデルの形状・トポロジー編集手法およびインタフェースを提案する.

本発表では,提案手法の詳細と実症例を用いた心血管モデリング結果を報告する.