福田 めぐみ(0951071)
ニューロフィードバックトレーニングは,リハビリテーションへの応用や障
害の治療,神経科学研究における新たな研究パラダイムとして注目されている.
リアルタイム fMRI を用いたニューロフィードバックトレーニングでは,被験者
は脳活動を観察することで,これを変化させることを学んでいく.先行研究では,
ニューロフィードバックトレーニング後に被験者が知覚を変化させ,その変化量
が脳活動の変化量と相関していたという報告も存在している.しかし,ニューロ
フィードバックトレーニングのメカニズム,特に被験者がどのように脳活動を変
える方法を学んでいくのかはよくわかっていない.そこで,ニューロフィードバッ
クトレーニングにおける脳活動の変化は,被験者が脳活動を変化させるために意
識的に作り出すイメージの方法を変えたというよりも,神経可塑性を反映したも
のである,という仮説を立てた.この仮説を確かめるため,通常,脳活動が負の
相関を示す後頭頂部 (LP) と右運動野 (LM1) の脳活動の相関を被験者が上昇させ
ることを学ぶ,というニューロフィードバックトレーニング実験を 4 日間行い,さ
らに実験当日・実験最終日の安静状態の脳活動を記録した.被験者は LP と LM1
の活動を有意に上昇させることに成功した.さらに,安静状態の脳活動において,
LP と LM1 の活動の相関が有意に上昇していたが,安静状態における脳活動の変
化は,神経可塑性を反映していると考えられている.この研究によって,ニュー
ロフィードバックトレーニング時に見られる脳活動の変化は,被験者が脳活動を
変化させるために意識的に行うイメージの変化を反映しているのではなく,神経
可塑性によって説明されうることが示唆された.