人の行動軌跡からの環境情報の理解とその情報を用いた移動ロボットナビゲーションに関する研究

濱田 薫 (0951096)


 近年,オフィスや家庭などの人の生活空間で作業を行うサービスロボットの研究がすすめられている. このようなサービスロボットには,人の生活空間でも安全に移動することが求められる. しかし,人の生活空間においては,環境を通路のような移動領域だけでなく,机やテーブル周辺などの作業場所や荷物置き,展示スペースなど様々な用途に利用している. ロボットは,人が環境をどのように利用してるかを知ることで,人の流れや危険領域を考慮して,より安全に目的地まで移動することができる.
 そこで,本研究では人軌跡を測定することで環境情報を推定することを目的とした. 本研究では,人の軌跡を滞留点と移動点に分け,滞留点を地図上に投票することで,人の滞留の多い作業領域を推定する手法を提案する. また,地図上の各点における人の移動確率分布を投票し,各点を人の移動確率分布を用いてk-means法でクラスタリングすることで,環境中の人軌跡の交差パターンを解析する手法を提案する. これらの環境情報を用いて経路計画を行うことで,安全な経路計画を行うことができると考えている.
 そして,実際に人の生活環境で人軌跡の測定を行い,測定した人軌跡を用いて環境情報の推定を行った.またその結果から,移動ロボットに必要とされる環境情報として,立ち入り禁止領域,作業領域,交差領域,通路領域の4つの領域で構成された環境情報地図を生成した.
 そして,本手法で生成した環境情報地図を用いることで,人の生活環境下でもセンサでは直接測定できない危険領域を回避した安全な経路の生成を行うことに成功した.