ロボットによる道具利用のための道具身体化モデル
中川 達裕 (0951087)
本研究の目的は,実ロボットの道具使用モデルの構築である.「道具を使う」た
めには,道具の1) 認識と2) 利用という2 つの能力が必要となる.従来の道具を
扱う研究ではこの二つの問題を切り分けていたため, 多様な道具の認識, あるい
は利用法の柔軟性にかけていた. 本研究では認知科学の分野で身体性の考慮が道
具の機能理解につながることが示唆されている点に着目し, 人が道具を手に持っ
たときに,それを身体の延長であるかのように扱うことができる「道具身体化
(tool-body assimilation)」のプロセスをモデル化した. 具体的には,ロボットに
既知の道具の利用を学習させた上で, 未知道具の認識・利用が可能なモデルを構
築した. ここで道具利用のタスクは掲示された物体軌道の再現とし,ロボットの
動作生成モデルにはダイナミクスの認識・生成が可能な神経回路モデルMultiple
Timescales Recurrent Neural Network (MTRNN) を利用した.シミュレーション
実験により,既知の道具だけでなく未知の道具を用いた場合でも試し振りによっ
て把持道具の認識を行い,提示された対象物体の軌道を再現する動作を生成でき
ることを確認した.