運動指令依存ノイズに着目した確率的Broadcast Feedback制御の到達運動への適用

寺岡 宏敏@(0951084)


ヒトやサルなどの動物が腕を始点から終点まで動かす到達運動を行う際に,何度行っても決まった傾向をもつ軌道を描くことがわかっている. また,実験の結果から,手先はあらかじめ運動前に計画された軌道に従って動いていると推測されている. これらの結果から,脳は運動前に何らかの規範に基づいて軌道を計画しているのではないかと考えられている.

計画軌道を決定するための規範として,Harrisらは運動指令にはその強度に依存したノイズ(Signal Dependent Noise: SDN)が発生するという仮説に基づき, 到達点での手先の分散が最小となる軌道を選択する終点分散最小規範を提案している. しかし運動指令ノイズの発生原因が明確でなく,その計算モデルの妥当性も明らかではなかった.

そこで,Harrisらのノイズモデルに代わるモデルとして,Uedaらが筋肉の構成要素である筋節の制御を参考に提案した,確率的Broadcast Feedback制御によって生成されるノイズモデルを用いることができるのではないかと考え,到達運動の軌道を計算することで検証を行った.

本発表では,到達運動の最適軌道計算の結果,確率的Broadcast Feedback制御の確率密度分布を用いたモデルにおいても,ヒトの到達運動でみられる傾向をもつことが確認でき,ヒトの運動に関わるノイズとして用いることができる可能性があることを述べる.