グローバルイルミネーション技術と一様でない複雑な反射特性を用いた拡張現実感における仮想物体の写実性の向上
園田 智之(0951072)
近年,拡張現実感 (AR) の分野において,提示する仮想物体の写実性向上に対する要求が高まっている.仮想物体の色や陰影を現実のシーンに一致させることは光学的整合性と呼ばれ,これまで様々な研究が行われてきた.中でもコンピュータグラフィクス (CG) 分野において写実性の高いレンダリングを可能にするグローバルイルミネーション (GI) 技術を AR において利用するアプローチは間接光による柔らかな影などを実現でき,いくつかの優れた結果を残している.また,現実に存在する多くの物体はその表面において一様でない複雑な反射特性を持っていることが知られている.そのような反射特性を AR において提示する仮想物体に持たせることで,仮想物体の写実性を向上させることができると考えられる.本研究では, GI技術のひとつである PRT(Pre-computed Radiance Transfer) と,物体の表面において一様でない複雑な反射特性を表現することができる SVBRDF(Spatially Varying Bidirectional Reflectance Distribution Function) を利用することで,仮想物体の写実性の向上を行う.
本発表では,複雑な反射特性を持つ仮想物体に対して現実の光源環境の影響を与えたAR画像合成の結果を示し,本手法の有効性を検討する.