役割分担を考慮したソフトウェアレビューの指摘記録支援方法の実験的評価

佐々木 辰也 (0951063)


ソフトウェアレビューはソフトウェア開発に関わるメンバが設計書などの 中間成果物から目視で欠陥を見つける品質向上施策である.レビューは会 議の形式で実施されることが多く,欠陥を指摘する複数のレビューア,指 摘を記録する1名のレコーダが参加する.レビューアが指摘した欠陥はド キュメントとして記録し,レビュー終了後に修正者が修正する.

本研究では,そのような形態のレビューにおける記録活動を支援することを目的と して,予備実験を実施し,記録に関する問題を調査した.その後,問題解 決に向けたプロトタイプを用いた指摘記録支援方法を実験的に評価した. 予備実験では,同時指摘の問題(あるレビューアAが欠陥を指摘し,レコー ダが記録している最中に,他のレビューアBが別の欠陥を指摘したいと思 ったとき,BはAの説明を理解しようとしているうちに,B自身の指摘内容 を忘れてしまうことがある) と,レビュー後の修正において,指摘箇所の 記録が不十分なため思い出しにくい記録があることを確認した.これらの 問題に対する指摘記録支援方法を12 名(4 グループ) の実務経験者により 実験を実施して評価した.実験の結果,同時指摘の問題に対してレビュー アBが手元で自身の指摘を記録できる支援方法,指摘記録に画像を含める 支援方法が有効であることがわかった.