従来研究では,金魚の位置測定に重点が置かれており,ポイを破らないといった重要な制約条件を考慮した運動計画を解くことは未だ試みられていない. そこで,本研究では金魚すくいタスクにおける運動計画の問題に焦点を当てる. 提案手法では,ポイを破らずにすくいあげに成功した運動軌道と,その時の金魚群の状態のセットをメモリとして予め多数用意し,データベースを構築する. 実際の試行では,現在の金魚群の状態からデータベースに蓄えられた金魚群の状態の中で最も類似した金魚群の状態を検索し,それと対応する運動軌道を再現することで,実時間でのすくい上げ動作を実現する.
また,提案手法における大量の学習データを必要とするという問題点を,ロボットが能動的に金魚群の動きを誘導することで,解決を図る手法を提案する. この金魚群の動きを誘導する提案手法では,誘導行動系列の計画問題を,最短経路探索問題として定式化し,ダイクストラ法を用いて効率的に計算する.
提案手法を用いたアルゴリズムを実装した結果,制約条件を考慮したすくい上げ動作が実現できた. また,金魚群の誘導に関しても,一定の有効性が確認できた.