近距離無線通信規格IEEE802.15.4におけるESPARアンテナを用いた単一RF受信機
高津 朋也 (0951047)
近年,小型のセンサノードで収集した情報を近距離無線伝送により収集するセ
ンサネットワークに対する需要が高まっている.それに伴い,センサネットワーク
では,小型で低消費電力かつ信頼性の高い通信が求められる.しかし,無線通信
では,送信した電波が複数の経路を通じて伝搬することにより,受信電解強度が
しばしば低下するマルチパスフェージング現象が生じ,受信特性が劣化するとい
う問題がある.この問題に対策する手法として,ダイバーシチ技術が一般的に使
用されてきた.しかし従来のダイバーシチ技術は,複数の RF 回路や信号処理が必
要となるため,ハードウェア規模が増大し,小型・低消費電力のニーズに答えるこ
とが困難であった.
本発表では単一の RF 受信系でダイバーシチ効果が得られる手法を提案する.
提案方式では指向性を IEEE802.15.4 のシンボルレートで変化させることにより,
フェージングが高速に変化するような環境においても複雑な信号処理を行うことなく
ダイバーシチ効果を得ることができる.また,受信特性が最大とな
る様にアンテナを選択する選択合成ダイバーシチでは,フィードバック制御を行
う必要があり追従性の問題があったが提案方式では従来の問題を解決できることが分かった.
本発表では,シミュレーションによる提案方式の有効性,また,提案方式に基づく試作アンテナの
受信性能の評価について述べる.