独立成分分析と平均二乗誤差最小化短時間振幅スペクトル推定を用いた両耳補聴器

呉将延 (0951046)


本研究では,独立成分分析と平均二乗誤差最小化短時間振幅スペクトル推定法を統合した雑音抑圧手法の,両耳補聴器への応用を提案する. 本手法は,非定常かつ非点音源である雑音環境下において,高品質に目的の音声を抽出可能であることが既に示されており,人が聞く技術への応用が期待されている. そこで本発表では,本手法の両耳補聴器における有効性について述べる. 実験において,実測頭部伝達関数及び実環境における雑音を使用し,雑音抑圧性能,処理歪み,および主観評価における定位感に関して考察を行った. 従来手法であるICA 等と比較した結果,本手法は雑音抑圧性能において優れていることが分かったが,定位感保持性能に関してはICA と同等に低いことがわかった. そこで,雑音抑圧性能を維持しながら定位感を維持できる定位感補償法を提案した. この結果,定位感補償法を導入した提案法は,雑音抑圧性能および定位感保持の両面において優れていることが分った.