運転ログデータのイベント相関解析による迷惑アラームの抽出

太田 濃 (0951023)


近年の石油化学プラントのプラントアラームシステムはDCS(Distributed Control System)化の普及に伴い,安価で容易にアラームの設置ができるようになった. DCSはソフトウェアの設定変更のみでアラームを設定することができるため,アラームの必要性やアラームシステム設計の妥当性を十分に議論することのないまま,多くのアラームが設定されるようになっている. これらの不適切なアラームシステムの設計からアラームの洪水や迷惑アラームが発生することがあり,オペレータの注意力が低下し,誤判断や重要なプロセス異常を見落としてしまう可能性が高くなることが問題となっている.

本発表ではこのような迷惑アラームの削減手法として,イベント相関解析法を用いた新手法を提案する. 従来手法として,運転ログデータからイベント(アラームおよび操作)発生系列の類似度をイベント相関解析により求め,連鎖アラームや不要アラーム・操作などを抽出する方法が提案されているが, イベント間のタイムラグの分散が大きいと,相関の高いイベント同士であっても類似度が低く誤判定されてしまう問題があった. そこで本発表では, イベント間のタイムラグの分散が大きい場合でも正確に類似度を検出する結果を報告する.