OSS開発における不具合修正遅延と修正者決定プロセスとの関係分析

大澤 直哉 (0951021)


近年,オープンソースソフトウェア(OSS) 開発における不具合修正の時間短 縮を目的として,不具合修正の遅延要因の分析が盛んに行われている.本研究で は,修正者が決定されるプロセスに着目し,不具合修正の遅延要因を明らかにす る.不具合修正に関与する報告者,依頼者,修正者の3 者の関係から,修正者決 定プロセスをSelf 型(報告者,依頼者,修正者が同一), Entrustment 型(報告 者,依頼者が同一), Server 型(依頼者,修正者が同一),Team 型(報告者, 依頼者,修正者が異なる) の4 つのパターンに分類した.3 つのOSS プロジェク トを対象に,それぞれの修正者決定プロセスが不具合修正時間(不具合票が報告 されてから修正が完了するまでの時間)に与える影響を分析した.分析の結果, Self 型は修正者が不具合票の報告時点で不具合に対する知識が十分にあるため, 修正時間が短くなることがわかった.Entrustment 型は修正者が決定されるまで の時間が短く,Server 型は修正者が修正を行う時間が短くなることがわかった. Team 型は依頼者,修正者共に不具合を理解する必要があるため,修正時間が長 くなることがわかった.ただし,Eclipse プロジェクトでは,修正者が決定され るまでに不具合に関する議論が行われた場合は,Team 型であっても修正時間を 短くできることがわかった.