仮想化機構を備えた演算器アレイ型アクセラレータ

岩上拓矢 (0951014)


汎用アクセラレータにおける電力あたり性能とバイナリ互換性の問題を解決するために, 線形アレイ型アクセラレータ LAPP(Linear Array Pipeline Processor)が提案されている. LAPPは多数の演算器をアレイ状に配置し,プログラムの最内ループから演算器アレイのデータパスを構成し,必要最小限のユニットだけで実行することによって,高性能と低消費電力を両立している. しかしこの従来型のLAPP ではスループットを高めるために1 演算器に1 命令を固定して割り当てるという物理制約があり,演算器数を超える命令列を高速実行できなかった. 本稿ではこのような演算器数を超えた命令列を高速実行するための仮想化機構を提案する. 本機構は演算器アレイにおいて各演算器で複数命令を時分割実行することによって仮想的に大きな演算器アレイを構築し,物理演算器数を超える長い命令列の高速実行を可能にする. 評価の結果,仮想化のオーバーヘッドによって従来型LAPPよりも電力あたり性能が低下することがわかった. 仮想化した18段構成は,電力あたり性能の低下を36段構成の$15%に抑えつつ, 面積あたり性能を約$113%に向上させることができた.