パーティクルフィルタを用いた車載向け歩行者追跡手法
石黒 剛大 (0951006)
近年,監視や車載用途での利用を対象とした歩行者認識に関する研究が盛んに行われている.
ここで用いられる認識処理は一般に,前処理等を行った後に,画像中から歩行者を検出処理に
よって発見し,一度見付けた歩行者の位置を追跡処理により把握し続けることによって実現される.
このような歩行者認識の精度を向上させるためには,検出処理,追跡処理,それぞれの精度を
向上させる必要がある.この2つの処理のうち検出処理に関しては高精度な手法が幾つか
提案されているが,追跡処理では実用に耐え得る手法はまだ提案されていない.
一方で歩行者追跡を行う手法にパーティクルフィルタを用いたものがあり,この手法は
比較的高精度な追跡手法で,並列度の高いアルゴリズムを採用しているので実時間処理に適している.
パーティクルフィルタを設計する上で精度に大きく影響するのは
現状態から次状態を推定するためのシステムモデルと,外部からの観測量を用いて
現状態を把握するための観測モデルである.
そこで本研究では車載用途に最適なシステムモデルと観測モデル
の検討を行い,これを並列実装することで処理速度と精度を評価する.
本研究では実装対象として NVIDIA Tesla C1060 を使用し,評価には車載カメラによって録画した映像を使用した.
それにより既存手法を用いた時よりも高精度な歩行者追跡が実時間で行えることが確認された.