ヒト皮質脳波からの黙読単語/母音の判別に関する研究
池田 純起 (0951005)
Brain-Computer Interface(BCI)とは,ヒトの脳活動を侵襲的もしくは非侵襲的に測定することで,ヒトの意思や動作を推定し,ヒトの意思を計算機に出力したり,ヒトの動作を代わりに計算機に実行させる技術のことである.本研究は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の声を発することができない非健常者に対して,コミュニケーションツールとしての BCI を提供することを目指す.その目的に向けて,本研究では,硬膜下電極で測定した皮質脳波(Electrocorticogram; ECoG)から,黙読単語と黙読母音の判別を行った.電極が設置されたてんかん患者に対して,ディスプレイ上に提示された単語/母音を黙読するタスクを実行し,そのときの ECoG を測定した.被験者には多数の電極が設置されているが,全ての電極を用いずに,使用する電極の数を出来る限り減らして判別を行った.これを行う理由は二つある.一つは,BCI を作る上で,脳に設置する電極を減らして,ヒトへの負担を軽減するということである.もう一つは,被験者の電極の位置がてんかんの治療を目的として決められているため,判別を行う上で重要ではない電極が存在し,これらの電極が判別性能を下げるためである.判別の結果,一つの電極で,黙読単語/母音を推定できる可能性を示すことができた.