放射線治療における動体追尾照射のための呼吸変形シミュレーションとその最適化に関する研究

五十嵐 匠真(0951003)


近年,放射線治療が悪性腫瘍に対する非観血的な治療法として注目さ れている.特に呼吸によって移動する肺腫瘍に対し,腫瘍を追尾しながら放射 線を照射する動体追尾照射による治療の実現が期待されている.治療中には二方 向からの患者の時系列連続X線直接撮影像が取得可能であるが,このX線画像の みをもとに画像処理で腫瘍位置を正確に把握することは容易ではない.そこで, 本研究では肺腫瘍の位置推定のための新しい呼吸変形モデルの開発と症例にあ わせた変形パラメータの最適化を目的とする.照射前に撮像されるCTボリュームデータ から胸壁と肺の三次元モデルを構築し,解剖学的構造に基づいて複数の境界条件を与えることで 肺の呼吸変形シミュレーションを実施する.提案手法では与える境界条件のうち 時系列変位を与える横隔膜と胸郭の振幅を変形パラメータと定義し,症例データにあわせて その値を最適化する.肺の変形結果を反映したDRR(Digitally Reconstructed Radiograph)を生成し, X線直接撮影像との類似度を算出することでシミュレーション結果を定量評価する. 類似度が最も大きくなる変形パラメータを最適値として洗濯する. 本発表では,提案手法とパラメータ最適化結果,また,最適化結果の検証として複 数の症例での検証結果を報告する.