プログラム入出力とデバッガ操作に着目したデバッグ行動分析
吉村 巧朗 (0851131)
デバッグ作業は,従事する開発者によりその効率が大きく異なる.デバッグ効率に影響を与える開発者の要因を明らかにできれば,開発者の教育や支援に役立てることができ,作業効率の改善が期待できる.本論文では,デバッガを使用した環境において,デバッグ能力に優れる開発者とそうでない開発者の特徴を明らかにする.特に,デバッガの操作とプログラムの入出力に着目し,両者の違いを分析する.150〜450行程度のJavaプログラムを用い,デバッガの操作とプログラムに与えた入出力の二つの観点で観察実験を行った結果,次の知見が得られた.まずデバッグ能力に優れる開発者には,頻繁にプログラムの動作を確認する,同じ入力を繰り返し与えるという特徴があった.一方,そうでない開発者には,連続する行にブレークポイントを設置する,バグと関係の無い入力を与える,もしくは入力をほとんど与えないという特徴があった.これらの特徴のうち,特にデバッグに優れない開発者に見られた特徴は,その改善によりデバッグ効率の向上が期待できる.