大規模多人数参加型オンラインロールプレイングゲームにおける トラフィック成分分析を用いた Bot 判別手法の提案

森部 皓裕 (0851123)


現在,MMORPG (Massively Multiplayer Online Role-Playing Game) において Bot プレイヤーが ゲーム内のコンテンツを急速に消費し,ゲームバランスを崩壊させるという問題がある.Bot は ルーチンによって動作するため,人間プレイヤーと Bot プレイヤーのトラフィックには差異が現 れるはずである。本稿ではトラフィック成分分析手法を用いて人間プレイヤーと Bot プレイヤー との差異を抽出できるか否かを検証する。また,検証の結果,トラフィック成分分析により人間プ レイヤーと Bot プレイヤーとの差異を抽出できることが明らかとなった場合,具体的な Bot プレ イヤー判別手法を提案する。本稿では,トラフィック成分分析手法としてゆらぎ分析手法,エン トロピー分析手法,ウェーブレット解析手法を用いた。まず,台湾国際大学が公開しているデー タセットを用いて各解析手法によりトラフィックの差異を抽出できるか否かを検証した。検証結 果から人間プレイヤーと Bot プレイヤーのトラフィックの差異が現れたため,人間プレイヤーと Bot プレイヤーのトラフィックには差異があるという対立仮説を設定した。そして,独自に取得 した別の MMORPG のトラフィックデータセットを用いて解析を行い,解析結果を母集団とした t 検定による対立仮説の検定を実施した。検定の結果,対立仮説は統計的に有意であることが示さ れた。これらの検証結果をもとに Bot プレイヤー判別手法に関する議論を行い,議論の結果ゆら ぎ分析を用いた Bot プレイヤー判別手法を有効なトラフィック分析手法として提案した。