グラム陽性菌に保存されているVegタンパク質の機能解析

雷 瑛 (0851153)


細菌の染色体DNAはコンパクトな構造をとっており、「核様体」と呼ばれている。 ヒストンとよく似た性質を持つ「核様体タンパク質」がその構造決定に重要であることが解ってきた。 核様体タンパク質は、細胞内に非常に多く存在しる低分子量のDNA結合タンパク質であり、 DNAの組み換えや複製、転写制御など、重要な細胞システムにも重要な役割を果たすことが知られている。 枯草菌Vegはグラム陽性菌によく保存されたタンパク質であり、さらに低分子量で発現量が多く、 核様体全体に局在することから、新規核様体タンパク質であると考えた。しかし、ChAP-chip解析の結果から、 Vegの染色体DNA上の分布はRNA polymeraseとほぼ完全に一致していることがわかり、 Vegは核様体タンパク質ではなく、RNA polymeraseと直接結合するタンパク質である可能性が示された。 そこで、VegとRNA polymeraseの結合を確かめるために、細胞内からVeg複合体を精製し、 RNA polymeraseのαとβ subunitの抗体を用いてWestern blotを行った。 その結果、RNA polymeraseのαとβ subunitのバンドが検出された。 さらに、精製したRNA polymeraseのαとβ subunit複合体にもVegが特異的に検出されたことから、 VegはRNA polymeraseに結合する因子であることがわかった。