モータータンパク質Myosin-XのMyTH4-FERMドメインの構造的研究による積み荷認識機構の解明

畑野 大樹 (0851150)


Myosinはアクチン線維上を移動するモータータンパク質であり、ヒトでは約40のmyosin分子がスーパーファミリーを構成している。Myosinの構造は大きく分けてHeadドメイン、Neckドメイン、Tailドメインに分けられる。ATPを加水分解することで駆動力を発生するHeadドメインは良く保存されている一方で、Tailドメインはmyosinごとに多様な構造を有しており、それが機能の多様性の要因となっている。しかし、Tailドメインの機能についての構造的な研究は進んでいない。

Myosin-XのTailドメインにはMyTH4ドメインとFERMドメインが存在するが、興味深いことに、この2つのドメインが協調的に積み荷を認識することが示唆されている。この積み荷の一つとして、神経軸索の伸長誘導因子として知られているnetrinの受容体であるDCC(deleted in colorectal cancer)がある。DCCがMyosin-Xに捉えられて、糸状仮足の先端に運ばれることで、糸状仮足の伸長をnetrinのある方向へ促すことが示唆されている。

本研究では、Myosin-XのMyTH4-FERMドメインのX線結晶構造解析によって、Myosin-Xにおける複数のドメインによる積み荷の認識機構を原子レベルで解明することを目的として、目的タンパク質の発現・精製・結晶化、またタンパク質の生化学的機能解析を行った。