臨界角照明蛍光相関分光イメージング法による量子ドット計測系の構築と細胞への適用

友松 克之 (0851148)


蛍光相関分光法(FCS)は、分子の「ゆらぎ」の情報から分子の拡散係数等、分子ダイナミクスについての情報を取得できる手法である。タンパク質の相互作用等の研究に用いられおり、近年、生物学分野で注目されつつあるが、従来の計測系では単一点での計測しか行うことが出来ないという問題点がある。この手法に高感度電子増倍CCD(EM-CCD)カメラと臨界角照明法を適用することでイメージベースでの計測が可能となる。

本研究では更に、蛍光分子に蛍光褪色しにくい量子ドットを用いることで、細胞内分子のイメージベース拡散係数計測の実現を目指した。まず、蛍光相関分光イメージング法の計測系の評価を行い、細胞接着分子インテグリンをターゲットとして臨界角照明蛍光相関分光イメージング計測を行った。その結果、インテグリン由来の分子の拡散係数計測に成功し、本研究手法の細胞計測における有用性が示唆された。発表では計測原理、実験の詳細と今後の展望について述べる。