密着結合形成制御に関与するZOタンパク質複合体の構造研究
杉藤 宏信 (0851147)
密着結合(tight junction,TJ)は上皮細胞側面に形成される接着構造の中では最も頂端に位置しており、組織内の恒常性や細胞極性を維持している。TJは、claudinやoccludinなどの接着分子により形成されるが、ZOタンパク質 (zonula occludens proteins:ZO-1、ZO-2、ZO-3)はこのTJ の形成や制御に関与している。ZOタンパク質は複数のドメインから構成されており、このうちSH3-GuK領域は、claudinの集積に必須であることが明らかとなっている。また、SH3-GuK領域は、occludinや、接着結合(adherence junction,AJ)形成を担っているαE-cateninと相互作用することで、AJとTJを構造的に結び付けていることが示唆されている。しかし、ZOタンパク質のSH3-GuK領域を介した標的タンパク質との結合様式やTJの形成制御機構について不明な点が多い。そこで、本研究では、TJ 形成制御にZO タンパク質がどのように関与しているのかを目的として、ZOタンパク質とTJ形成に関与する他のタンパク質との相互作用に焦点を絞って、構造生物学的解析を進めた。本発表においては、 ZOタンパク質によるTJ形成の制御機構について述べ、結合するタンパク質との相互作用を明らかにするために行っている構造的研究から得られた結果について報告する。