微小管の翻訳語修飾酵素 TTLファミリー-タンパク質の構造研究

黒木 亮 (0851146)


チューブリンチロシンリガーゼ(tubulin tyrosine ligase, TTL)ドメインを有するタンパク質ファミリーは、哺乳類ではTTL、TTLL (TTL like protein) 1-13の計14のタンパク質から構成されている。TTLドメインはグルタチオン合成酵素と相同性があり、ATPで駆動されてアミノ酸付加を行う。14のタンパク質のうちTTLがチロシン付加、TTLL3、8,10がポリグリシン化活性をもつことが明らかとなっている。それ以外では、9個がポリグルタミン酸付加酵素に分類されており、うち6つが単独で活性をもつことが示されている。。翻訳後修飾はシグナル伝達の主要かつ普遍的な制御機構である。タンパク質にタンパク質を付加する翻訳後修飾によるシグナル伝達制御はここ数年で構造生物学的手法によってそのメカニズムは原子レベルで明らかとなってきている。その一方でTTLのように1アミノ酸を付加や、ペプチド鎖を伸長する酵素は極めて珍しい。しかし,細胞内においてポリグルタミン酸付加やポリグリシン付加されるタンパク質は、最近では、tubulinだけでなく、他にも見出されていることから、今後より一般的な翻訳後修飾となる可能性がある。本研究では微小管の翻訳後修飾機構を明らかとすることを目的として、種々のコンストラクトについて結晶化スクリーニングや生化学的実験を行った。これらのデータを統合してTTLファミリータンパク質について報告する。