そこで、本研究では結合部位予測を行った後、予測結果をドッキングに用いることで、タンパク質表面においてリガンドの結合部位が未知の場合でも対応できるような、高速のリガンド―蛋白質複合体の構造予測に取り組んだ。 川端により開発されたポケット検出アルゴリズムGHECOMと階層的クラスタリング、アミノ酸の進化的保存度を利用することで、蛋白質表面の結合部位予測を行い、予測された部位に Kuntzらによって開発されたドッキングプログラムUCSF DOCK 6.3を用いて、リガンドの位置と姿勢を計算し複合体構造予測を行った。
その結果、DOCK 6.3の結合部位予測手法(sphgen)と比較して、GHECOMを用いることで結合部位予測、複合体構造予測の精度が改善し、GHECOMが有効であることが示された。また、GHECOMのプローブに進化的保存度、階層的クラスタリングを用いることで結合部位の予測精度が向上した。 複合体構造予測を行った結果、クラスタリング手法の変更、進化的保存度の適用で予測精度は変化しなかったが、10倍以上の計算の高速化に成功した。