本論文では,公共交通機関網の定時性に着目し,長距離のメッセージ転送に電車を用いるDTN(T-DTN)を提案する.電車の定時性やユーザ移動特性からの独立性により,DTN全体としての予測不可能性を削減することが可能になり,到達要求時間内にメッセージ到達率の向上が可能になると考える.そこで,T-DTNの基礎特性評価を行い,システム性能と問題点を明らかにする.その後,到達要求時間を考慮したフィルター手法を提案し評価する.メッセージの転送時におけるフィルタリングで,到達要求時間内に到達可能性が高いメッセージを転送し,到達率が向上した.さらに,環境要素の最適化によって到達率の保証が可能であることを確認し,公共交通機関網を利用したDTNの有効性を示した.