TDD システムにおける基地局間フレーム同期
和田哲英（0851133）
WiMAX 等の基地局と端末との通信に TDD を用いるシステムでは，基地局間のフレーム同期がシステム性能を決める重要な指標となる．
現在，フレーム同期を取るための手法として，各基地局ごとに GPS 受信機を配置して時間基準を抽出する手法が主に用いられている．
一方で，近年，サービスエリアの穴や能力不足を埋めるという観点から，フェムトセルと呼ばれる小型の基地局が注目されている．
フェムトセルの一つ一つに GPS 受信機を備えるのは経済的ではない上，フェムトセルが屋内に設置された場合には GPS 信号がうまく受信できないことが起こりうる．
そのため，屋内でも利用できる，安価かつ高精度な手法が求められている．
そこで本研究では，フェムトセルが周囲の BS の送信信号を受信することで各 BS の送信タイミングを推定し，その送信タイミングの受信信号レベルで重み付けした平均に自身の送信タイミングを合わせることで周囲の BS との間でフレーム同期を取る手法を提案した．
また，各BSとフェムトセルの間の伝搬遅延時間を推定するために，提案方式にフェムトセルの位置を推定する手法を取り入れた．
計算機シミュレーションにより，提案方式の特性を評価した結果，マルチパスの影響等により位置推定の精度が低下するような状況においても十分な精度のフレーム同期を取ることが出来ることを明らかにした．
また，フェムトセルと BS の位置関係によってはフェムトセルの位置を推定できない場合があるものの，10% 程度の確率でしか位置推定が出来ないという状況においても十分な精度でフレーム同期を取れることを明かにした．