PiTaSu: Picture based Input Method Using Tapping on Wall Surfaces
吉竹 大輔 (0851130)
本発表では,生活環境中に存在する壁面を利用する事で,視覚・触覚フィードバックを得る事が可能な入力をコンセプトとしたPiTaSu(Picture based Tapping on wall Surfaces)を提案し,試作機を構築した.
近年,様々な作業支援などの特別な目的に応じたウェアラブル・ユーザインタフェースが現実化している.
その多くは,HMD(Head Mounted Display)やタッチパネル型液晶ディスプレイなどがある.また,これら機器はユーザとコンピュータがインタラクションするためにユーザに特別な学習や対象環境への特別な準備を必要とする.
しかし,ウェアラブルコンピュータの更なる実用化により,大きな恩恵を受ける高齢者の思い出し支援への利用を考えた場合,特別な学習を必要とするユーザインタフェースは適していない.
このため,ウェアラブル機器の実用化で大きな恩恵を受ける分野に最適化されたユーザインタフェースは出現していない.
PiTaSuはモバイルプロジェクタとカメラ,小型無線加速度センサにより構築される.モバイルプロジェクタにより壁面へ情報を提示し,カメラで撮影することでタップ位置を検出し,小型加速度センサでタップ動作を検出する.モバイルプロジェクタとカメラは,肩や胸に装着され,小型加速度センサは手首に装着される.
PiTaSuは壁面に投影した絵を直接タップすることで視覚・触覚フィードバックを得る事ができ,ユーザとシステムの壁面を利用したインタラクションを実現する.
このため,特別な動作と様々な入力方法を関連付ける必要なく,壁面に投影される絵を実際にタップすることでインタラクションが可能となるため,高齢者の思い出し支援のための理想的な入力インタフェースである.
本発表では,試作機を用いたいくつかの壁面への利用実験と高齢者による被験者実験により,壁面へ投影像を提示した環境が高齢者に与える意味を観察し,PiTaSuが構築する環境及び入力インタフェースが有用であることを確認した.