変分ベイズ法を用いた NIRS-DOT の逆問題解法

宮本敦史 (0851120)


近年,高次脳機能計測装置の研究が盛んに行われている.それは非侵襲的な脳機能イメージングができるようになり,ヒトを対象とした実験が可能となったからである.安全,簡便な非侵襲計測装置の一つに近赤外光を用いたNIRSがある.NIRSデータから線形逆問題を解くことで断層図を再構成する方法はNIRS-DOTと呼ばれる.逆問題解法には一般に正則化項を推定値の二乗ノルムとした最小ノルム法が用いられてきた.これは推定値の分散は等方であると仮定を用いている.そこで,統計的学習手法である階層ベイズ法を用い推定値ごとの分散を考えることで推定精度を向上させることを目指した.ベイズ法では一般に周辺尤度の積分計算が困難であるが,近年,確率変数とハイパパラメータの独立性を仮定することで解析的に解を求める変分ベイズ法が提案された.

本研究ではNIRS-DOTに対する変分ベイズ法による逆問題解法を与える.数値実験により最小ノルム法との比較を行い事前分布の設定を最適化にすることで推定精度が向上されることを示す.