機械学習を用いたブレーキ警報システム

味間弘喜 (0851118)


自動車運転はドライバと自動車の協調動作であり,その安全性を向上させるためには,ドライバの理解が必要不可欠である.そのため,衝突リスク評価の検討や,緊急時ブレーキ支援システムの開発等の交通事故を未然に防ぐための予防安全技術の開発が活発に行われている. 通常時のドライバの運転と異常時のドライバの運転を判別できれば,異常運転時にはブレーキ警報によってドライバに危険を告知し,事故を未然に防ぐことが可能である.従来のブレーキ警報システムは,警報を出す基準があらかじめ定められており,ドライバ個人の嗜好に適したものではない.そのため,過度にブレーキ警報が作動したり,警報が遅れて事故を防げないことも予想される.その対策として,ドライバ毎に警報のタイミングを最適化し,ドライバの嗜好の尊重とブレーキ警報による効果的な事故防止とを両立させることを試みる.本発表では,通常運転時の運転データを独自に収集し,通常運転時のドライバが許容する衝突リスク指標の範囲を特定することで,現在の運転が通常運転時か異常運転時かを判別するシステムを提案する.

また,ドライバの運転行動予測や運転状況推定も近年重要視されている.ドライバの運転状況を推定することができれば,衝突防止システム等の運転補助機能を運転状況毎に適用することが考えられるため,運転状況を推定することは事故を未然に防ぐという観点から見て有効である.運転状況推定に用いる運転データにはレーダーによる車間距離計測に基づく方法が考えられるが, 追加機器が必要となり計測が困難である.それに比べブレーキ信号は測定が容易である.そのため本発表では運転データにブレーキ信号を用い,ブレーキ時系列モデリングによるドライバの運転状況推定方法を提案する.