異なる構造化オーバレイネットワークにおいてchurnの検知・対処機能を 統合化するフレームワークの実装と評価

水谷后宏 (0851115)


構造化オーバレイネットワークは分散ネットワーク環境を構築する上で幅広く利用されている. しかし,オーバレイに対して,ノードが参加・離脱を繰り返す(churn)環境では,その構造を維持し,サービスの品質を維持するコストが増大する. なぜならば,単一のオーバレイではchurnに対して対処する機能に限界が生じるためである. そこで本研究では実環境上で動作している他のオーバレイが持つ churn耐性機能やchurn情報を相互に利用できる機構を提案し,複数動作しているオーバレイ全体のchurn耐性を向上させることを目的とする. 本研究では,churnの検知・対処機能を統合化し,共通機能として,各オーバレイに提供する. 具体的な機能として,各オーバレイ間でノード情報を共有する機能とノードの離脱情報を自律的に拡散する機能,及びノードの信頼度を提供する機構を提供する. これらの機能を有効性を検証するための実験では,代表的なルーティングアルゴリズムのChord, Kademlia, Pastryを用いたファイル共有サービスを同時動作させた際に,オブジェクトの収得率,及びchurnの検出速度を向上させることができた.