まず,姿勢角を制御目標として考慮しない問題を考え, この問題を車両の障害物回避問題を集合への大域的漸近安定化問題として定式化する.
次に,姿勢角を制御目標として指定すると,車両の障害物回避問題は, 障害物回避制御が要求する制御の不連続性のみを考慮すればよいことを示す.
そして,不連続な障害物回避制御を作る最小射影法を用いて,制御目標を大域的に漸近安定化する制御則を提案する. 提案する制御則が微分方程式における一般化解において,制御目標を大域的に漸近安定化することを証明する.
さらに,車両の障害物回避においては, ポテンシャル場の微分不可能領域が意思決定をしている訳ではないことを示す.
最後に,制御則をKhepera2移動ロボットに実装して制御則が確かに制御目標を大域的漸近安定化していることを確認する. また,人工ポテンシャル法と提案法との対比実験によって,有効性を確認する.
提案する制御則は不連続な状態フィードバック則であり, 計算量のかかる目標軌道の設計が不要である点で優れている. そのため,提案する制御則が求める計算量は,理論的に必要な最小量にほぼ等しい.