未知な参照入力のもとで拘束条件の達成を保証する遠隔制御に関する研究

平出 尚史(0851095)


近年のネットワーク通信技術の発展により, ネットワーク通信路の利用が容易になってきている. 特に制御分野では遠隔地にある対象を制御するために, ネットワーク通信路が用いられている. こうした中, 制御信号がネットワーク通信路を通過した影響を考慮する研究が行わている. ここで, ネットワーク通信路を通過する影響とは, 伝送遅延や損失といったネットワーク特性によるものである. また, 制御する対象には動作制限や入力電圧制限といった拘束条件が存在する. この拘束条件を破ってしまうと制御性能の劣化やシステムの不安定化を招いてしまう.

こうした, 拘束条件を有する制御対象をネットワーク通信路を介して制御する手法として, システムの状態空間上の集合である最大出力許容集合を用いる方法がある. しかし, この集合は計算量が多く, 参照入力の変化により集合の形状が変化する可能性がある. このため, 有界未知な参照入力のもとでは, 集合をオンライン計算で得ることも事前に準備しておくことも困難である.

そこで本研究では, 有界未知な参照入力における遠隔制御手法を提案する. 提案法は, 最大出力許容集合を楕円体近似したものを利用し, 有界未知な参照入力のもとネットワーク介しても拘束条件の遵守を可能にする. また, 提案する遠隔制御法を使用して, インターネットを介するカメラ雲台のパン軸回りの位置決め制御実験を行う. それにより, 提案法が有界未知な参照入力のもとでネットワークを介しても拘束条件の遵守できるかを検証する.