腹腔鏡下手術における鉗子操作の定量評価に関する研究

羽山 裕也 (0851091)


近年普及が進んでいる腹腔鏡下手術では外科医への視覚,触覚の制約が著しい.そのため,手術を行うには鉗子操作の習熟に特化したトレーニングを行う必要がある. トレーニングには模型,動物,献体などが用いられているが,動物を確保することは難しく,献体も機会が限られているため,ドライボックスを用いたトレーニングが普及している. ここで,練習者の習熟度の評価には,担当症例数の豊富な熟練医による評価が一般的に行われているが,より客観的な評価手法への需要が高まっている.

本研究では,ドライボックストレーニングにおける医師と未経験者の鉗子操作の定量評価を目的とする. そのアプローチとして,まず,胆嚢摘出手術ビデオを観察することで鉗子に掛かる力をベースとした鉗子操作を基本操作として分類を行い, 既存の鉗子にひずみゲージを付加したセンサ鉗子を用いて操作を定量的に扱い, そのセンサ情報を用いて自動分類を行った. さらに,自動分類の結果として得られるセンサの電圧変化の時系列データを用いて,医師の基本操作をデータベースとして保持し, 新たな入力があったときにデータベース上の基本操作とDPマッチングを行い, そこから得られた累積距離から点数化することで基本操作の定量評価を行った.

提案手法をドライボックスと生体豚を使ったトレーニング環境において検証し,医師と未経験者を定量的に評価することができた.