非可聴つぶやき発声法の習得支援技術

波多野学 (0851088)


音声認識には,静環境下ではユーザの音声が周囲の者にとって雑音となる, 秘匿性の高い発話が困難である,といった問題点が存在する.これらを解決 する新たなコミュニケーション媒体として,中島らによって非可聴つぶやき (Non Audible Murmur: NAM)が提案されている.従来研究において,これまで に複数の話者に対するNAM認識が試みられており,話者毎に認識率が大きく 変動することが報告されている.そのため,NAM認識技術のさらなる改善は 当然必須といえるが,そもそもNAMはユーザにとって未知の発声であるため, ユーザ自身が認識されやすいNAM発声法を習得することも重要である. 本論文では,ユーザがNAM発声法を効果的に習得できるように,NAM発声 習得を支援する技術の構築を行う.認識率に影響を与える音響的要因と, NAM発声法を改善させるためのアドバイスを選定するための知覚要因を 分析する.これらの分析結果を基に,ユーザのNAM発声に対して,適切な アドバイスを行う処理を実現し,実験的評価によりその有効性を明らかにする.