利用者の状況に応じて画面レイアウトが変更可能な遠隔教育支援システム

野口 晃司 (0851084)


本発表では,実空間における講義により近いコミュニケーションを可能とするために,遠隔講義システムのインターフェイスである,各ユーザのディスプレイ上に表示される画面レイアウトに着目する.そして,上記問題点への対策として,講義,演習,グループワークなど,様々な形態での講義を取り扱うことができ,利用者の状況に応じて異なる画面レイアウトを使用できる機能を備えた遠隔教育支援システムを提案する.提案システムは,(1) 様々な講義の形態をサポートするための複数の異なる画面レイアウトが使用できること,(2) 講義の進行状況や利用者の状況の変化に合わせて,複数の画面レイアウトを容易に切り替えができること,(3) 学習者の学習状況の把握を効率良く行えること,を目標とする.上記 (1) を実現するため,各講義形態および利用者のとりうる状況毎に画面レイアウトを定義できるレイアウト設定機能を提供する.(2) を実現するため,複数の講義の形態間の状態遷移を定義し,講義参加者間で講義の形態の変遷を同期させる講義形態間遷移機能を提供する.(3) を実現するため,レイアウト中の各ウィンドウに特定の学習者の映像を表示したり,複数の学習者の映像を周期的に切り替えて表示する,モニタリング機能を提供する.

上記の機能を Java 言語を用いて実装し,提案システムの各機能が実空間における講義に近いコミュニケーションを可能とするために有効であるかを検証するための評価実験を行った.結果,レイアウト設定機能を付加した提案システムは,約 64% の学習者から講義内容の理解の助けになる,全ての学習者から臨場感が得られるという評価を得た.また,モニタリング機能を付加した提案システムは,Adobe Acrobat Connect と比較して,画質は劣っているものの,人数が多いほど学習者の状況把握において有効であるという評価を得た.