予定経路情報を用いた車車間情報配送手法の提案と評価

中村 正人(0851078)


本発表では,メッセージの複製によるオーバヘッドを抑えながら,メッセージの宛先への到達率を向上させることを目標に,近隣車両の移動予定経路情報を利用した情報伝播手法を提案する.カーナビゲーションシステムを搭載した車両の運転者は,あらかじめ目的地を設定し,システムが誘導する経路通りに移動すると仮定する.提案手法では,各車両は,近隣にいる車両の移動予定経路情報を取得するため,自身の移動予定経路情報を含めたハローメッセージを定期的にブロードキャストする.送信すべきメッセージを保持する各車両は,近隣車両の移動予定経路情報を調べ,メッセージの宛先に最も近づく車両にメッセージを中継する.自車両が最もメッセージの宛先に近付く場合は,メッセージを保持したまま,中継先となる近隣ノードが現れるまで移動を続ける.これを繰り返し行うことでメッセージを宛先に向 けて中継していく. 提案手法を評価するために,交通流シミュレータとネットワークシミュレータを用いて,メッセージの宛先への到達率を調べるシミュレーション実験を行った.各車両が保持できるバッファサイズ,提案手法のシステムを搭載した車両の普及率を変化させて,メッセージの到達率を評価した.その結果,提案手法は,メッセージオーバヘッドを抑えつつ,バッファサイズが小さい場合には単純なフラッディングの 1.5 倍程度,バッファサイズが大きい場合でも10%程度上回るメッセージ到達率を達成することを確認した.