力覚の拡張現実感提示システムの開発

玉置 健 (0851067)


より情報量の豊富なインタラクションの実現に向けて,操作者に物体の力覚を提示するハプティクスの研究が盛んに行われており,これまでに,様々なハプティックデバイスや物体のモデル化手法が提案されている.しかし,これらのデバイスやモデル化手法を用いて力覚を再現する際,提示したい物体の応答が複雑な場合,デバイスが追従することが難しいことや計算時間がかかることが問題であった.本研究では,従来困難であった複雑な力覚を正確に再現するために簡単なモデルと性質の似た別の物体を用いて再現する力覚の拡張現実感(ハプティックAR)提示手法を提案する.本手法では提示したい物体に近い特性を持つ操作物体の応答を利用し,これにハプティックデバイスによる力覚を重畳することで目標物体の反力応答を再現する.まず,ハプティックAR提示手法の概要について述べる.次にハプティックデバイスのみを使って力覚提示を行うVR(従来手法)とハプティックデバイスと操作物体により力覚提示を行うAR(提案手法)においてロボットによる押し込み時の反力応答を計測し違いについて述べる.最後に被験者による力覚の比較実験において,人肌ゲルの反力を再現した場合と,人間の皮膚の反力を再現した場合の結果について述べる.実験結果を基にハプティックAR提示手法による力覚の提示システムが従来手法に比べ有効であることを示す.